後藤健生の「蹴球放浪記」第128回「遠い昔、初めてのイスラーム体験の思い出」の巻(1)中秋に思い起こす南米での美しい月の画像
マレーシアでのオリンピック予選の入場券。熱狂的なスタンド風景は筆者を驚かせた 提供/後藤健生

 世界には、多種多様な文化がある。宗教も、そのひとつである。今年ワールドカップが開催されるカタールでもイスラーム(イスラム教)が広く浸透しているが、蹴球放浪家・後藤健生が初めてイスラームに触れたのは、東南アジアのある国だった。

■上位対決を彩った中秋の名月

 9月10日の等々力陸上競技場。J1リーグ第29節の川崎フロンターレサンフレッチェ広島の試合が間もなく始まろうとしていました。暫定2位の広島と3位で逆転優勝を狙う川崎の激突です。

 メインスタンド上段にある記者席から選手入場を待つピッチを眺めていると、バックスタンドの屋根の上にオレンジ色の丸くて大きな月が昇ってきました。

 2022年の9月10日は旧暦の8月15日つまり「中秋」に当たっていました。上ってきた月は「中秋の名月」というわけです。しかも、今年の中秋の月は満月にだったのです。暦の上の「中秋」と、天文学的な満月(月齢15)は必ずしも一致しないので、「中秋の名月」が満月なのはむしろ珍しいことなんだそうです。

 それにしても、月が昇ってくるのが試合開始直前という最高のタイミングだったことといい(この日のキックオフは通常の19時ではなく、18時30分でした)、天気予報より雲が少なくて月がきれいに見えたことといい、この日は絶好の条件が重なっていました。

 地球という惑星は「月」という大きな衛星を持っています。そして、その大きな月の存在が地球の環境の安定にも寄与しているのです。

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