■失われた記念品としての価値

 ところが、今から25年くらい前になるとコンピュータ発券が普及してきます。

 台紙にコンピュータで印字された券面です。開催日やスタジアム、カテゴリーは文字で表示されているだけなので、台紙はすべて同じデザインになってしまいました(決勝戦だけ違うデザインという大会もありましたが)。いくら台紙のデザインが美しかったとしても、すべて同じデザインでは飽きてしまいますよね。

 まあ、それでも大会やクラブ毎に違うデザインの台紙を使っているので、今でも入場券の収集をしている人はたくさんいます。

 しかし、コンビニなどで発券する入場券の場合は、台紙は各コンビニのものなので、サッカーの試合でも野球の試合でもコンサートでも、まったく同じものになってしまいます。これでは記念品として収集する気持ちにはなれません。

 さらに、最近になると入場券は電子化されることも多くなりました。つまり「紙の」入場券は存在せず、スマホのQRコードを示したり、送られてきたQRコードをプリントアウトして使うわけです。

 たしかに便利は便利なのですが、もうこうなってしまうと“記念品”としての価値はなくなってしまいます。いずれ、「入場券」というものは消滅してしまうのかもしれません。

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