■8月の横浜FM失速の原因

 横浜FMと川崎は、チーム力を考えれば間違いなく現在の日本のサッカー界をリードしている強豪チームであり、彼らがリーグ戦優勝争いの中心となっているのは当然のこと。なにしろ、この5年間、J1リーグのタイトルを取ったのはこの2チームだけなのだ。

 けれども、第28節で両チームが勝点を落としたことでも分かるように、両チームはかならずしも万全な状態ではない。

 7月にEAFF E-1選手権があり、横浜から7人もの選手が日本代表に招集された。そして、7月27日の最終日、韓国との事実上の優勝決定戦では横浜の選手6人がそろって先発し、彼らのコンビネーションを生かした日本代表が韓国を圧倒して3対0で勝利を飾った。しかし、この試合では交代出場した“7人目”の横浜勢、宮市亮が靱帯断裂の重傷を負う結果となり、また、全員が疲労を抱えたままチームに戻ってきた。

 その直後の7月30日に行われた第23節、鹿島アントラーズ戦では代表に招集されていた選手では岩田智輝西村拓真のみが先発。他はベンチスタートとしながらも鹿島に完勝。その選手層の厚さを見せつけた。

 だが、その後、8月に入ると横浜は失速。ルヴァンカップやACLを含めて公式戦4戦全敗に終わってしまったのだ。今から思えば、やはり、横浜の選手たちにとってE-1選手権はかなりの負担になったのではないだろうか。

 そして、ACLでは8月18日のラウンド16の戦いで神戸に敗れた横浜は、本来なら予定されていたACLの残りの2試合(準々決勝と準決勝)のスケジュールがキャンセルとなったため、ゲームがない状態がずっと続いてしまったのだ。

(2)へ続く
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