ACLで浦和レッズと対戦、BGパトゥム・ユナイテッド指揮官・手倉森誠監督が語った「タイの2026年W杯出場」とその先にある「日本サッカーの未来」(1)の画像
手倉森誠監督(BGパトゥム・ユナイテッド)   撮影/中地拓也

■「その気にさせる」ことから始めた

 日本サッカーの発展に力を注いできた男が、新たなチャレンジに挑んでいる。2016年のリオ五輪代表監督であり、2018年のロシアW杯でコーチを務めた手倉森誠が、タイのBGパトゥム・ユナイテッドの指揮官としてACLのノックアウトステージ(傑志戦、浦和レッズ戦)を戦ったのだ――。

 今年2月にBGの指揮官に就任した手倉森が、まず手をつけたのは意識改革だった。

「BGは2020-21シーズンのタイリーグ王者で、ACLにも出場している。ただ、自分の監督就任にあたって、王者になったときの慢心と、いま勝てていない迷いがあると言われた。会長とこのクラブは、アジアの舞台で活躍できるクラブを目ざしている。BGが強豪になることでタイのサッカーを発展させたいという思いもぶつけられたときに、クラブの目ざしているものをチームに吹き込んで、その気になって戦うことを求めたら、本来持っている力を発揮し始めたんです」(手倉森監督、以下同)

 チームを再建する具体策を持つ手倉森は、モチベーターとしての評価も高い。就任初戦を白星で飾ると、BGを上昇気流へ乗せていく。優勝したブリーラム・ユナイテッドに1対0で競り勝つなど、リーグ戦を7戦1分の無敗で終えた。彼自身は4月の月間最優秀監督に選出された。

 4月に開催されたACLのグループステージは、首位で突破した。2シーズン連続となる東地区の16強入りを果たした。

 タイリーグは欧州主要リーグと同じ秋春制で、前シーズンのリーグ覇者とFAカップ王者によるチャンピオンズカップがシーズンの幕開けを告げる。鹿島アントラーズでも監督を務めた石井正忠監督が指揮するブリーラムが2冠を達成したため、8月6日の試合にはリーグ戦2位のBGが出場した。新シーズンの行方を占う一戦を3対2で制し、手倉森のBGは日本へ乗り込んできた。

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