■リカルド監督が迫られる選択
しかし、大量得点による連勝で勢いに乗っている浦和も万全ではない。
東南アジア勢相手には攻守の切り替えで上回って、速い攻めを繰り返すことによって大量点を奪うことに成功したものの、浦和には奪ってからパスをつないで敵陣まで運ぶパスの精度が欠けていた。リカルド・ロドリゲス監督就任から1年半が経過して、ようやくパスをつないでボールを前に運ぶ速さを身に着けつつある浦和だが、攻撃の完成度という面では川崎フロンターレや横浜F・マリノスには劣っている。
東南アジア勢相手なら、その速さだけでゴールに結びつけることができるが、全北相手にどこまでそれが通用するのか……。
パトゥム・ユナイテッドとの試合では、前半は精度を犠牲にしてでも速い攻撃をしかけて2点を奪った浦和だったが(その他にハンドやオフサイドで取り消された“幻のゴール”が2つ)、後半に入ってパトゥム・ユナイテッドの手倉森監督が「思い切って」と3-4-3にシステム変更。前線に強力FW3人を並べ、さらにウィングバックを使ってボールを素早く前線に送ることで、かなりチャンスを作り始めた。
一方の浦和は、後半に入るとスローダウンさせる場面もあり、速さの追求よりもパスの正確性を求めるようになった。2点リードしているという試合展開によるものだろうし、また、相手のシステム変更で受けに立つ時間が長くなったことへの対応だったのだろう。
果たして、全北との試合でも前半から速さを前面に出して戦うのか、それともボールを失うのを避けるために正確につなぐことを重視するのか、リカルド・ロドリゲス監督の選択も難しいところだ。
ホームの埼玉スタジアムで多くのサポーターの声援を背にして戦えること。そして、相手の全北はほとんど先発メンバーを変えずに2試合連続して延長戦を戦っていることを考えれば、浦和有利なのは間違いない。Jリーグの良いところ(つまり切り替えの速さやプレー強度)をしっかりと発揮して、韓国のチャンピオンチームを圧倒してほしいものだ。