■FIFAのガイドラインから消えた記述
いまでもサッカー専用スタジムでは、「ダグアウト」式のチームベンチはあちこちで見ることができる。埼玉スタジアムも、チームベンチはやや掘り下げられている。
しかし選手たちのステップワークを観察しようというコールマン監督ならともかく、視線が低いと試合の全体像をつかむのが難しく、普通の監督は「ダグアウト」を嫌う。今日はテクニカルエリアができ、多くの監督は90分間ずっとその最前部に(ときにはその外に)立っているから、チームベンチが「ダグアウト」でもあまり気にならないかもしれないが…。
2007年に国際サッカー連盟(FIFA)が発行した『サッカー・スタジアム:技術的推奨と必要事項』では、「交代要員のベンチはグラウンドレベルに置かれなければならない」と書かれ、「ダグアウト」式は原則として避けるべきとされた。しかしことしFIFAが発表した『Stadium Guidelines 2022』(https://stadiums.fifa.com/)では、この記述はなくなっている。
2022年のガイドラインで定められているのは、両チームのベンチは、タッチラインに並行に、タッチラインから5~8メートルのところに設置し、なおかつ、ハーフラインから少なくとも5メートル、両ベンチとも等距離に配置しなければならないということだけだ。