■試合も左右しかねない重要な要素

 「ハーフラインから等距離」は、重要な要素だ。2003年、イングランドのカップ戦でノンリーグ同士の対戦があり、ホームのサットン・ユナイテッドがビジターのグレイズ・アスレチックをPK戦の末に下した。試合後、グレイズは「チームベンチの距離がハーフラインから等距離ではなく、サットンを失格にすべきだ」とFAに訴えた。

 シーズン前、サットン・ユナイテッドのホームスタジアムでは、改修に伴ってピッチを8メートルほどメインスタンドから見て左にずらした。だがメインスタンドそのものには手をつけられなかったので、観客席も、そのなかに組み込まれた造り付けのチームベンチもそのままだった。結果として、ホームのベンチはハーフラインの延長線上、ビジターのベンチは15メートルも離れてしまったのである。FAはその事情が十分受け入れられるものであると考え、グレイズの訴えを退け、試合成立を認めた。

 ちなみに、現在はこの造り付けのチームベンチは使われておらず、透明なアクリルボードで背部と上部を囲った移動式のチームベンチにとって代わられている。

(4)へ続く
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