特定の選手の不在が強さに影響しないマリノスとの差はあまりにも大きかった。
三竿健斗は「この結果が現状。マリノスの方が今までやってきたことを進化させながらプレーしていた。完敗だと思う」と口にしたが、リーグタイトルという目標は変わっていない。ヴァイラー監督は「ロッカールームで、自分たちのゴールはリーグで一番強くなることだ、とはっきり伝えた」と明かしている。
強い鹿島ではない、という受け入れがたいことを受け入れて先に進もうとしている彼らを、この試合で深く刻み込まれた悔しさが突き動かすだろう。厳しい現実を突き付けられたが、チームとして感情を共有し連帯する姿もあった。
必勝を期した試合で早々の交代となってしまったキャプテンの土居聖真は、悔いの残る表情でベンチに戻ってきた。ベンチ前で彼を抱き寄せ、しばらくそのまま寄り添ったのはファン・アラーノ(※)だった。アラーノは79分から出場したが、反撃に転じることはできず。土居から引き継いだ悔しさを晴らすことができずに、もやもやを抱えたまま試合を終えてしまった彼を抱きしめたのは、高井蘭童通訳だった。