■劣勢の試合で見せた能力の高さ
韓国は、要所に好選手を配した完成度の高いチームだった。
その中心は、かつてINAC神戸レオネッサでも活躍した池笑然(チ・ソヨン)と現在トッテナム・ホットスパーでプレーしている趙昭賢(チョ・ソヒョン)の2人のMFだった。この2人が試合をうまくコントロールし、その2人を李永稠(イ・ヨンジュ=マドリードCFF)が気の利いたプレーでうまくサポート。そのほかのポジションでも個性がはっきりした選手が多かった印象だ(李永稠は台湾戦では負傷者が出た関係で途中からDFとしてプレーしたが、最終ラインからパスを駆使してゲームメークを行った。実にクレバーな選手だ)。
そして、韓国は2019年のE-1選手権から指揮を執るイングランド人のコリン・ベル監督の下で時間をかけて作り上げてきたチームであり、メンバーを固定して戦っているので、当然のことながら完成度は高かった。
こうした完成度の高い相手と対戦したので、レギュラー格の海外組が不在で、しかも代表経験の浅い選手が多い日本が劣勢に陥るのは無理もないことだった。
ただ、それでも日本は韓国の攻撃を1点だけに抑えることに成功したし、得点場面も含めて、回数は少ないがしっかりとパスをつないで相手守備陣を崩し切るチャンスは作ることができていた。
たとえば、1点目のゴールではサイドバックの清水梨紗とサイドハーフの成宮唯が右サイドでパスをつないで攻め上がってMFの猶本光にボールを預け、猶本からのパスが相手に当たったもののペナルティーエリア深くまで進入した成宮に通り、成宮のマイナス気味のクロスに左サイドから入ってきた宮澤ひなたがフリーで合わせた非常に美しいゴールだった。
劣勢な試合ではあったが、それでも日本チームの能力の高さも見られた試合だった。