■5バックを崩すためのセオリー
今回、中国は5-4-1を敷いて守備を重視した戦いを行なってきた。力量差があるときにこのシステムを採用して守りを固めるチームが多いが、5バックのチームを崩すための一般的なセオリーを分析してもらった。
「5バックのメリットは、スペースを消しやすいことです。5人のうち1人が思い切って前に飛び出しても、4人が後ろに残って守ることができます。ただ、そうやって自信を持って1人が前に出て行くことで、瞬間ではありますがDFラインにスペースができます。
加えて5バックを崩すためのポイントは、こうして後ろに残った4人の中からもう1人引き出すことにあると私は解釈しています。個人的には外から2番目の選手、つまり左右のCBをどう引き出すかが重要だと思っています。彼らをライン間に引き出すか、もしくはタッチライン際に引き出すかの2通りが基本アクションになりますね。
今回の日本みたいに4-2-3-1や4-3-3で挑んだ場合、相手のWBはこちらのSBとマッチアップします。そして相手3バックのうち左右のCBは、こちらのSHやトップ下、IHを気にかけていることが多いんです。つまり、こちらのSHやトップ下の選手たちに対して、相手の3バックの左右をどう食いつかせるかが大事ですね。
5レーンのうち、外から2番目のハーフスペースに向かってトップ下やIHを斜めに走らせて食いつかせる、といった形は僕はよく考えています。そうすると相手DFラインが崩れてライン間にスペースができたり、CFへのパスコースが創出されたりしますね。
このときトップ下やIHの選手が斜めに走るのは、ボールを受けるためだけではなく相手をかく乱するためでもあり、最近このアクションは当たり前になっていて、バルセロナのMFのぺドリやガビをはじめとした欧州のチームのMFも実行しチャンスを作っています」
5バックでスペースを埋めて戦う相手に対しては、今回のように中央に密集してコンビネーションで崩すだけでなく、スペースを作るためにも相手をかく乱するような動きも重要となってくるのだろう。