【サッカー日本代表『E-1選手権』「中国戦」】シュート20本超でも「0-0」…悔しい「スコアレスドロー」!!“打開策”を「スペインサッカーの本質を知る男」坪井健太郎氏が解説!「バルセロナのペドリやガビもやっている」引いた相手からゴールを奪うために必要な「3要素」とは?(#1)の画像
細谷真大 撮影/原壮史

 7月25日に行なわれたE―1選手権の第2戦・中国戦。愛知県・豊田スタジアムで行なわれたこの試合、サッカー日本代表はほとんどの時間帯でボールをにぎり押し込むも、得点を奪えずにスコアレスドローでゲームを終えることとなった。その試合を、2008から2019年までの12年間、スペインの地で指導者を務め、数々の実績を残してきた「世界のトップを肌で知る男」坪井健太郎さんに分析してもらった。(#1、2のうち1)

【プロフィール】坪井健太郎 つぼい・けんたろう 1982年、静岡県浜松市生まれ。静岡学園卒業後、指導者の道へ進む。安芸FCや清水エスパルスの普及部で指導経験を積み、2008年にスペインへ渡る。バルセロナのCEエウロパやUEコルネジャで育成年代のコーチを務め、リーグ優勝・昇格を経験。2018-19シーズンにはユース1部のカテゴリーであるディビシオン・デ・オノールで FCバルセロナやRCDエスパニョール、RCDマジョルカといったプロクラブが戦うリーグで6位という上位争いに食い込んだ経験を持つ。『サッカーの新しい教科書 戦術とは問題を解決する行為である』『サッカー 新しい守備の教科書』『サッカー新しい攻撃の教科書』(いずれもカンゼン刊)が大好評発売中。

■引いた相手からゴールを奪うために必要な「3要素」とは?

 自陣にブロックを敷いて守る時間帯がほとんどだった中国代表。日本はその中国に対して押し込み続けて21本のシュートを放ったが、1度もネットを揺らせず。日本代表はアジアの国々など、“格下相手”と言われる相手との対戦でたびたびこうした姿を見せてしまうが、どこに問題があるのだろうか――。今回の中国戦のように、引いた相手から得点を奪うために必要な「3要素」を坪井さんが解説してくれた。

「引いた相手から得点を奪うために必要な要素、1つ目は『強さ、速さ、高さ』、つまりフィジカル的な要素です。当たりの強さやスピード、そしてクロスボールに合わせるための高さといった身体的な要素ですね。それを全面に押し出して点を取るというのがまず考えられます。わかりやすい例でいうと相手ペナルティエリア内でプレーするベルギー代表のルカクのようなプレーです。

 2つ目は、個人打開――1人で局面を打開できるような選手に預けてチャンスを作り出していくことです。サイドをドリブル突破してクロスを上げたり、エンバペやネイマールのようにゴール前の狭いエリアで仕掛けて相手DFを剥がしたり、創造的なプレーで意表をつくスーパープレーのような個人的な優位性からフィニッシュまでつなげる形もあります。

 3つ目は、限られたスペースと時間のなかでも技術的にミスのないプレーをこなしてフィニッシュに行くことです。狭いスペースにおいて一瞬の駆け引きでマークを外してボールを受けてクオリティやインテリジェンスのある選手によってチャンスを作る形ですね。53分の決定機で細谷真大選手が見せたような、パスを受けてワンタッチでマークを外したプレーが良い例だと思います」

 1つ目に挙げてくれたフィジカル的優位性を押し出したプレーはあまり見られなかったが、2つ目の「個人打開」は宮市亮がサイドを突破する形で見せており、そして3つ目のようなプレーは坪井さんが分析したように細谷が要所で見せていた。それでも得点には至らなかったため、0-0ドローという結果は一層悔やまれる。

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