■09年以来の1試合5得点で仙台が大勝

 ここからは圧巻のゴールショーだ。

 70分、左SB内田裕斗が敵陣でスローインを入れると、中山がスルーする。背番号9の背後にいた富樫がボールを受け、右サイドのオープンスペースへパスを通す。

 ここへ走り込んできたのは、右SBの真瀬拓海だ。ペナルティエリアに入るかどうかという位置でボールをインパクトすると、力強い右足シュートが仙台サポーターに歓喜を呼びこむ。真瀬は2試合連続のシーズン3点目だ。

 84分にはカウンターを発動する。途中出場の石原崇兆が左サイドからフリーで持ち込むと、中島がペナルティエリア左へ走り抜け、中山がペナルティエリア中央からファーサイドへ逃げる。ふたりの動き出しによってゴール前中央へ生まれたスペースに、富樫が侵入していた。石原からラストパスを受けると、DFの股間を抜いた左足シュートがGKを破る。勝利を決定づける4点目だ。

 90+3分には、フォギーニョがワンタッチでDFラインの背後へ狙う。富樫がCBに競り勝ってペナルティエリア内で前に出ると、飛び出したGKと交錯する。主審はペナルティスポットを指さした。PKだ。富樫が自ら蹴り込み、仙台は5対1で快勝した。

 J2での5ゴールはチーム最多で、09年5月以来13年ぶり7回目となる。前回は水戸ホーリーホックとのアウェイゲームで、マルセロ・ソアレス(2得点)、平瀬智行、朴柱成、それに関口訓充がゴールを決めた。

 また、CBの平岡康裕が36歳1ケ月23日での試合出場を果たし、野沢拓也を抜いて最年長出場記録の3位に浮上した。1位は梁勇基の40歳2ケ月27日で、2位は柳沢敦の37歳6ケ月9日だ。

 岩手戦の勝利は、J2通算200勝目だった。原崎監督は「私自身が200勝をすべて覚えているわけではないので、実感はわきませんが」と切り出し、新たな決意を言葉にした。

「これまでのベガルタ仙台の歴史がもちろんあって、それが更新されていくこと、そしてこれにまた上積みしていかなければいけないという使命感のほうが、いまは強いですね。これにどれだけまた勝利を重ねていけるかという印象がいまは強いです」

 次節は4位のV・ファーレン長崎をホームに迎える。勝点8差で追いかけてくる相手を叩くことで、3強の構図をよりはっきりとしたものにしたいところだ。

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