■時折苦しそうにしゃがみ込む場面も

 土壇場での同点弾が生んだ歓喜の中心にいたのは、和泉ではなく鈴木だ。そして、盛り上がるサポーターをさらにあおったのも鈴木だ。2017年から3年にわたって鹿島の背番号9を背負った男は、10年から13年まで背番号9を背負った大迫の前で、鹿島の意地を見せた。

 鹿島は直後にもDF安西幸輝のドリブルから和泉が決定機を迎えつつあったものの、これはフイに。逆転することなくそのまま試合は終了。勝ち点1を積み上げるにとどまった。

 どちらも前半から決定機を迎えた試合だった。GKクォン・スンテに救われた場面も何度もあった。その中で、鹿島はビハインドと数的不利の2つを覆して引き分けに持ち込んだが、「追いついたという評価は僕の中ではできない。これを勝ち点3に変えるのが、“勝つチーム”、“優勝するチーム”だと思う」と鈴木は満足していない。

 さらに、「5連戦で苦しかったと思いますけど、この最後の試合は勝点3を取りたかった。非常に悔しい結果」と勝利だけを見据えたが、過密日程は確実にチームに疲労を蓄積させている。実際、この背番号40は札幌戦を体調不良で欠場。この神戸戦でも、時折苦しそうにピッチにしゃがみ込む場面もあった。

 夏場をどう乗り切るかは、優勝争いを勝ち抜くうえでキーポイントとなる。ほぼ時を同じくして遠く九州で行われた横浜F・マリノスと鳥栖の試合も引き分けた。逆転優勝に向けた道は閉ざされていない。

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