■指揮官が攻撃で感じたいくつもの課題
6月18日のJ1リーグ・札幌戦では内容と5得点を奪う結果で“川崎らしさ”を取り戻した、かに見えた。その試合から引き続き先発メンバーに名前を連ねたのは、GKチョン・ソンリョンとDF車屋紳太郎の2人だけ。とはいえ、レアンドロ・ダミアンやマルシーニョらがピッチに立っており、フレッシュな選手で構成されていたため多くのゴールが期待できた。
しかし、結果的には“齟齬”の方が大きかった。試合後、開口一番、「負けに対する悔しさしかない」と話した鬼木達監督は、「前半のスタートのところでイージーミスが散見された」と悔やんだが、実際、それは采配にも表れていた。ハーフタイムという早い段階で、3人(宮城天、瀬古、小塚)の交代を決断したからだ。しかも、代わりに入った橘田健人、脇坂泰斗、遠野大弥の3人はハーフタイムのウォーミングアップをしないで中に引き上げていたことから、前半のうちに交代は決めていたと思われる。
他方、攻撃面での課題も口にした。「前進できるタイミングで前進する、(シュートを)打てるタイミングで打つ、背後に行けるタイミングで行くとか、そうしたことをやれればまた違った展開になった」と振り返り、さらに、「前線で時間を作る部分がなかった」「2トップで段差を作りたかった」「全員で共有して攻撃のスイッチを入れたかった」など、多くのことがピッチ上でうまくできなかったようだ。