■ブラジル人アタッカーをベンチに

 この試合に挑むにあたって、鬼木達監督はスタメンをかなり変えた。レアンドロ・ダミアンやマルシーニョといった、ここまでスタメンを張ってきたブラジル人アタッカーと、左サイドバックとして出場を重ねていた佐々木旭をベンチに置いた。そのうえで、大島にチャナティップという負傷明けの選手を起用した。いつもとは違ったまさかの人選は、“シン川崎”の予告だった。

 というのも、「マイボールの時間を増やして、攻撃回数を増やしたかった」と指揮官が振り返ったように、ここ数試合とは違って選手が積極的に前に出て行った。それが、スコアにも表れた。66分に再びリードを許したものの、すぐに小林悠のゴールで追いついた。そして、86分にまたしても小林のゴールで勝ち越しに成功すると、89分、96分とダメ押し弾を重ねた。得点を欲する“強い川崎”が、ピッチに戻ってきた。

 指揮官が「コンディションの問題」と話した佐々木旭の代わりに左サイドバックに入った橘田は、アンカーで出場したときと同様にピッチでいろんな所に顔を出して混乱をもたした。本職ではない選手が輝くあたりにも、川崎の組織力が戻ってきたことを感じさせた。

 今季の川崎は、圧倒的強さではなくしぶとさを見せて勝点を重ねてきた。札幌戦の開始時点での今季の最多得点はわずかに「2」。一方で大量失点も少なくなく、すでに昨年の2倍の黒星を喫していた。

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