■不安な吉田の今後

田中碧(左)と話す冨安健洋(右) 撮影:中地拓也

 さすがに疲労感はあっただろう。全体的にも4試合目の選手は疲労感は隠しきれなかった。初戦では半歩前に行けていたところを、チュニジア戦では行けないシーンもあった。しかし、それは言い訳にできない。W杯では短期決戦でグループリーグ3試合を戦わなければいけない。2018年のロシア大会では、クロアチア代表が決勝トーナメントで2試合延長がありながらも、計7試合をこなして決勝まで行き準優勝。世界の強豪と戦い体力的にも厳しい試合となるが、試合数や疲労は気にしていられない。

 日本は良く連携の取れた組織的な攻守を組み立てると言われることもあるが、今回のチュニジア戦で細かい連係の部分でボロが出た。2失点目はボールの位置を考えれば、吉田が行くべきだったのだろう。もしくは見合ったことを察してシュミットが対応しても良かったかもしれない。どちらにせよ声かけの部分であったり、認識の部分が甘っかった。迷ったら「俺が行く」くらいの気持ちや、決め事として迷ったら「誰が行く」というような細い確認も必要だったかもしれない。

 冨安健洋は代表に合流したものの、怪我の影響でこの6月シリーズは1度も出場せず。やはりアーセナルDFがいるだけでも、もう少し変わっていたかもしれない。1対1の守備であったり、高さや強さの部分で他の選手とは違う部分を見せることができたはずだ。

 また今回のシリーズは酒井宏樹が不在となり、長友佑都が右SBを務めた試合もあった。冨安はアーセナルで右SBで起用されており、代表でも適応できるところはあっただろう。そう言った意味では、冨安の不在も今回の代表戦では大きかったと言える。

 また、不安要素がある。吉田の去就だ。6月いっぱいでサンプドリアとの契約が満了となる吉田だが、今後の去就は不透明となっている状況。試合後の会見では「これから9月に向けて、なるべ早くいいチームで試合に出てコンディション作って万全な状態で9月に臨みたいと自分自身理解している」とも語っている通り、11月に控えるW杯に向けて早く去就を決めたいところ。

 万が一、所属先が決まらず無所属のまま欧州での所属先を探す状況や、移籍しても試合に出られない状況になるのなら、W杯に向けて最大の不安要素となる。

 そうなった場合、吉田をスタメンから外した上でのシステムも考えなければいけない。冨安と板倉をCBで起用し、左には伊藤洋輝または長友佑都。右サイドバックには酒井宏樹を置く布陣が想定されるだろう。または、今回の日本代表メンバーで考えるならば3バックを採用して、冨安、板倉、伊藤のスタメン起用など試しておくべき布陣もあるはずだ。吉田の今後の去就、コンディション次第で代表のスタメンが変わってくるかもしれない。

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