セレッソ大阪は6月9日、MF乾貴士との契約を同日付けで解除すると発表した。ワールドカップでも活躍した日本代表の突然の退団劇は、なぜ起こったのか。
■プロサッカーの世界の仕組み
「選手はプロとして、この世界の仕組みはどういうものなのかを理解しないといけない。監督と選手の関係の中で、いろいろと対応しないといけない」
ベテランのサッカージャーナリスト・大住良之氏は、そう語る。
事の発端は、4月5日のJ1リーグ第7節の柏レイソル戦だった。この試合で先発した乾は、62分に交代でピッチを退く際に不満の意思を示した。クラブは、「サポーターの皆様の前で暴言を吐くなど不服な態度を示した。また、試合後にチーム規律・秩序を乱す行動が確認されたため」と発表。発表前にメンバー外となった2試合も含めると、公式戦計8試合の出場停止処分を科した。
これは、大住氏が指摘するところの「原則」である。現場の第一の責任者にして唯一の意思決定者は監督。だからこそ、試合の結果の責任を取るのは監督なのだ。選手は、自分のプレーにしか責任を持てない。その原理が崩れれば、チームは成り立たなくなる。乾への処分は、クラブとしての明確な意思表示だった。