■遠藤は大忙しだった
そんな試合で、アンカーを務めていた遠藤は大忙しだった。
原口元気と田中碧の両インサイドハーフはしつこくブラジルの選手に食らいついた。それはそれでスコアレスを保つのに欠かせない要素であり、もともとそういう戦い方だった。とはいえ、彼らが人に食いつかなければならない状況であるということは、それによるスペースのケアはアンカーに託されるということだ。
ネイマール、ヴィニシウス、ラフィーニャ、フレッジ、ルーカス・パケタ、カゼミーロ・・・入れ替わり立ち替わりアンカーの左右のスペースに入り込んでくるブラジルの選手たちを止めなければならない、という高難易度のタスクが課せられた遠藤だが、そこはブンデスリーガのデュエル王。落ちて組み立てようとするネイマールに正面からぶつかったり、スピードに乗りかけたヴィニシウスに後方から体を入れてスライディングで食い止めたり、と強豪相手に戦うために守備で不可欠な選手であることを感じさせた。
ただし、それでも差を感じさせる場面もあった。たとえばドリブルを開始したネイマールは、寄せてきた遠藤を左手一本で押し返しつつそのまま進んでみせた。