■札幌は元に戻ることができるだろう
そんな彼に、サポーターは拍手を送った。小野が確認したことで、スタジアム全体が気持ちを切り替えることができたかのようだった。
その試合では88分に登場し、限られた時間と状況の中で柔らかいボールの供給やエリア外からのシュートを見せていた小野だが、この日は出場機会が巡ってこなかった。プレーでチームの雰囲気を変えるチャンスは訪れなかったが、プレーしていてもしていなくても、チームにとってもサポーターにとっても、小野が精神的支柱であることに変わりはなかった。
誰よりも落胆していた福森と話をした小野は、場内を一周してサポーターへの挨拶を終えると、ピッチに礼をして帰っていった。
試合後、ペトロヴィッチ監督は「こういう状況は各チームに必ず訪れます。一番いけないのは、パニックになったり、慌てたりすること。自分たちがやってきたことを信じられなくなり、チームがバラバラになることです」と言葉を選んだが、小野がいる限り札幌は必ず元の姿に戻ることができる。そう思わずにはいられない光景だった。
■試合結果
北海道コンサドーレ札幌 0―3 サンフレッチェ広島
■得点
24分 東俊希(広島)
65分 ジュニオール・サントス(広島)
87分 ジュニオール・サントス(広島)