■サポーターも泣く泣く帰国

 実際、4年前のメキシコ大会予選のときには試合終了後に日系のデパートが焼き討ちにあったり、日本人サポーターが試合終了後にスタジアムから出られなくなるといった事件もありました。当時の香港では、まだ反日感情が強かったのです。

 試合で民族感情を高ぶらせた人たちが百万人デモと合流したら、大変な事態になりかねません。ですから、試合が中止になった本当の理由は百万人デモだったのかもしれません。

 僕は、一応、スタジアムに行ってみました。スタジアムには「本日の試合は明日の夜に延期になりました」と書いてありました。スタジアムからの帰り道、銅鑼湾(コーズウェーベイ)付近で「百万人デモ」の現場に出くわしましたが、その盛り上がりぶりを見ると、「たしかに試合などできそうもないな」と実感したものです。

 日本人サポーターの中には航空券を買いなおして翌日まで滞在した人たちもいましたし、泣く泣く帰国の途に就いた人もいます。僕も、この時はどうしても月曜日中に帰国しなければならなかったので、試合は観ずに帰ってきました。

 ちなみに、5月22日の試合は0対0のスコアレスドロー。日本代表はホームでは北朝鮮とインドネシアに勝ったものの、香港とはホームでも引き分けてしまい、結局、最終予選に進むこともできませんでした。

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