■トップチームとアカデミーの連携の強化
2019年に立ち上げられた「ワールドクラスの選手を輩出する」ことを目的とした育成重点施策「Project DNA」によってJリーグ全体で育成改革が進められているいま、他クラブでもトップからU-15までのゴールキーパーが合同トレーニングを実施するなど、複数のカテゴリーにまたがって経験を共有しようという動きが目立つようになってきている。
欧州や南米のように、トップ、育成、普及の垣根を低くする方向と言うべきか、その空気は東京にも確実に漂い始めている。それは現役高校生の東廉太(FC東京U-18)がトップで堂々とプレーをする姿を見てもわかる。以前からユースの選手はトップに帯同していたが、今季の沖縄キャンプではユースの選手が完全にトップチームの一員となったかのようにトレーニングをこなし、シーズンが始まってからはアルベル監督は2種登録選手を積極的に起用、改革の動きが加速しているのは明らかだ。
組織改編はなされたばかり。しかし実際の運用で、すでにトップとアカデミーが共通のものさしでやっていこうとする機運が高まってきている。
「おっしゃるとおりです。一気に全部はできないのでできるところからやっているんですけれども、今季からU-18の監督に奥原(崇)さんに就任していただき、トップとアカデミーとの連携を更に強めています。
ヨーロッパで言うと、アヤックスでは所属する17歳、18歳の選手がチャンピオンズリーグでデビューしていますが、それはどう見ても経験させるためにやっているわけではない。チャンピオンズリーグは出場するだけで約25億円がもらえるほどの大会なので、真剣に経営を考えてのことです。
そこでその選手を使うということは、戦力として自信があってピッチに立たせている。計量的にデータ的にもトップでできることを裏付けるものがなかったら、そこに立たせられないじゃないですか。
そういった意味では、我々が分析のチームを立ち上げたのも、やはり各カテゴリーでどういう数値が出ているのか、それがちゃんとトップの水準に来ているのかというところをしっかりと見極めたいから。そのうえでトップのピッチに立たせていかないきゃいけない」