【明治安田J1リーグ 第11節 浦和レッズvs横浜F・マリノス 2022年5月18日 19:34キックオフ】
ハーフタイム、リカルド・ロドリゲス監督はメンバーを交代しなかった。3失点を喫した選手たちに「5枚のディフェンスに形を変える」「ユンカーとシャルクが前から追い、ボランチのところを中盤の3人が対応する」などの策は授けたが、まずは自分たちで意地を見せなければならない、という姿勢が感じられた。
ボールを回して崩す、という理想の形ではなく、マリノスの高いディフェンスラインの裏をユンカーへのロングボール一発で狙い、後方での前進や守備はなんとしても対人で上回る、というシンプルかつ現実的な戦い方に変わったチームは、後半立ち上がりに1点を返すことに成功すると、ことあるごとに選手同士が話し合いながらリスクを負って攻め続け、見事3-3にしてみせた。
結果は勝利ではなく6試合連続の引き分けとなったものの、『死ぬ気で掴みとれ』をピッチ上で示してみせたチームに対し、スタジアムは大きな拍手を送った。
クラブには、その時その時の監督や選手たちによる戦い方の変化以外に、そのクラブらしさというものが受け継がれている場合がある。苦しくなって戦術が関係なくなった時、最後に残る部分がそれだ。浦和であればこの試合や昨年の天皇杯、あるいは過去のACLで見せたような、横断幕の言葉を借りれば『死ぬ気で』戦うことができるかどうか、ロドリゲス監督の言葉を借りれば「チームがピッチですべてを出し尽くしてくれる」かどうか、というところなのだろう。