大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第89回「オフサイドはなぜ反則か」(3)W杯で「私は機械になります」宣言 人間業の極致と言える副審の判定の画像
相樂亨さんのオフサイド判定はまさに「神業」だった(2010ワールドカップ中のメディア公開セッションで)(c)Y.Osumi

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、あの「不可解なやつ」―。

■97歳の老人への厳しい仕打ち

 「オフサイドはなぜ反則か」と聞かれたら、私なら、「オフサイドルールがないとサッカーがつまらなくなるから」と答えるかもしれない。1世紀もの長命を保つ絶妙な「2人制オフサイド」によって、サッカーはスピーディーになり、激しく、変化に富んだゲームになった。もしオフサイドルールがなかったら、サッカーは恐ろしく間が抜けたものになっただろう。

 ただ、近年のビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)の下では、オフサイドルールは少しかわいそうな気がする。なにしろこの97歳の老人をつかまえて、「1センチ出ていたからオフサイド」などとやっているのだ。

 VARが誕生するまで、いや、誕生してからも、オフサイドの判定は基本的にはそれぞれのエンドを担当する2人の副審に委ねられている。そしてサッカーの副審によるオフサイド判定こそ、「人間業」の極致ではないかと、私は思っている。

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