■もはや「インポッシブル・タスク」
なにしろ、DFラインの最後尾の選手のラインをキープしながら、ボールがけられる瞬間を間接視野と耳で察知し、その瞬間に攻撃側の選手が前に出ていたかどうかを判定するのである。それだけならまだしも、ボールがタッチラインから出ていないかどうか、主審からは見えにくく、自分からは見やすい角度のファウルの判定も、副審は求められている。
自陣のタッチラインを出るかどうかのところから攻撃側が大きく前にけったとき、ボールが向かう最前線の選手が相手陣の中央あたりにいて、相手ゴールに向けて走っていたとしよう。DFは彼をオフサイドにしようと前進する。副審はボールがタッチラインを出ていないことを確認しつ、FWとDFの一瞬のすれ違いのなかでキックの音を頼りにオフサイドかどうかの判定をしなければならないのである。しばしば、この状況に別のDFが戻りながらからんでくる。それを見極めるという「インポッシブル・タスク」を、1試合のなかで何回も何十回もこなしているのが副審という人びとなのである。