■5月13日/明治安田生命J1第13節 浦和レッズ 0ー0 サンフレッチェ広島(埼玉)
試合後の埼玉スタジアムでは大きなブーイングが2つ沸き起こった。一つはピッチの上で円陣を組むサンフレッチェ広島に対してで、もう一つは勝てなかった浦和レッズに対するものだ。浦和は広島にスコアレスドローとなり、引き分けはこれで5試合連続。スコアレスドローもこれが3試合連続。勝てないイライラと不満が、選手に向けられた。
うなだれたままスタジアムを一周する選手がメインスタンド前を通る頃、GK西川周作がピッチを周った。勝てなかったとはいえ、いつも通りサポーターに笑顔で手を振りながら雨の中を歩いた。そんな西川が、北側のスタンドを通ったときだ。一瞬にして険しい表情になると、電光掲示板を乗り越えた。サポーターからの言葉に怒っているようで、激しい言い合いとなった。同時に、ブーイングはさらに大きくなる。スタッフらが止めに入る事態となり、険悪のスタジアムで一触即発の事態となった。
西川はうなずきながら、手を使いながらサポーターに話しかけた。すると、徐々にブーイングの中から拍手が起こるようになった。あの激しいブーイングの中では、サポーターも正確には聞き取れなかったかもしれない。それでも西川の真剣な表情に、対話を求めるキャプテンの姿に、サポーターも心が打たれたのだ。西川はうなずきながら、何かを伝えようとしながら、再び歩き始めた。