■メキシコでも一歩も引かず

 そういえば、1986年のメキシコ・ワールドカップでも、銃を構える兵隊の制止を振り切って記者席に向かったことがありました。

 メキシコのスタジアムは4方向のスタンドが同じ形で、しかも太陽が真上にあるので、東西南北が分からないことが多く、ある時、記者席とは反対側に入ってしまったので、メインスタンドに行こうと思ったら、銃を持った兵隊が「ここは通るな!」と言うのです。まだ30歳台の若造だった僕はビビってしまったのですが、M日新聞の先輩記者のA井義行さんは「後藤っ、付いてこい」と言って銃を構える兵隊を押しのけてメインスタンドまで強行突破したのです……。

 いやはや、世界にはすぐに銃や鞭を持ち出す乱暴な警備陣もいるものです。しかし、日本人記者団もけっして負けてはいなかったというお話でした。

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