■バルセロナに求められるFWとは

 現在のバルセロナは【4-3-3】を基本布陣としている。ハーランドやレヴァンドフスキは前線の「3」の中央、すなわち頂点に据えられる。

 監督のなかには、ストライカーにボックス(ペナルティーエリア)内になるべく留まり、そこでパスやセンタリングを受けてシュートをゴールに叩き込むことに専念させる指揮官がいる。しかしシャビ監督はCFに“仕上げ”だけを求めるタイプではない。プレーの構築、攻撃を創造する段階での関与を要求する。

 具体的な動きにフォーカスしよう。ウィングがボールを受けるためにワイドに張る。ピッチに幅がもたらされ、相手の守備陣が広がる。インサイドハーフが横にスライドあるいは2列目から前線へと飛び出す。すると、CFへのパスコースが“花道”のように開く。そこで一旦、CFがパスを受けて起点になり、そこから味方の上がりを促して攻撃に厚みができる。

 重要なのはオフ・ザ・ボールと“落とし”の質だ。その点では、ハーランドよりレヴァンドフスキの方が戦術的にはハマる。役割としてはリオネル・メッシネイマールルイス・スアレスの「MSN」時代にスアレスが担っていたタスクに近いものになるだろう。

 一方で、バルセロナでC Fを務めるというのは簡単な仕事ではない。2009年夏にインテルから加入したズラタン・イブラヒモビッチは、バルセロナで苦しんだ。ペップ・グアルディオラ監督がリオネル・メッシのファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)を発明した影響もあったが、イブラヒモビッチは最後までバルセロナに馴染めなかった。

 ただし、疑問は残る。そもそもバルセロナにCFの補強が本当に必要なのか、という大前提だ。

(2)へ続く
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