例年どおり、J2では熾烈な戦いが続く。その中で、サッカージャーナリスト・後藤健生はFC町田ゼルビアに注目する。初のJ1昇格を狙う町田の戦いぶりと、率いる指揮官、さらにJ2を変化させている外国人監督たちについて考察する。
■J3発足がJ2を変えた
ところで、第12節、第13節と2節連続で町田ゼルビアの試合を観戦したのだが、どちらも非常にスピーディーでパスが回るハイレベルでエンターテインメント性も高い試合だった。
前にも述べたように、昨年、J1で17位となって降格した徳島ヴォルティスは、今シーズンはJ2での戦いとなったが、引き分けが多くて勝点を伸ばせない状況となっていたが、町田との試合ではパススピードの速さが目についた。そのスピードある攻撃が噛み合い始めたら、再昇格を狙える位置まで食い込んでくる可能性は大きいだろう。
その他、J2の中位にいるチームではロアッソ熊本も内容的には良いサッカーをしている。
かつてJ3リーグが発足する前、J2リーグに降格がなかった時代にはJ2リーグには高度な技術的・戦術的サッカーを目指すチームがいくつもあった。監督としては降格がないだけに、思い切って自らの理想を追求することができるリーグだったのだ。
だが、2014年にJ3リーグが発足して、J2とJ3との間で昇降格が行われるようになると、J2リーグの様相はガラッと変わっていった。J3リーグへ降格してしまうと、クラブ経営は大きな困難に直面することになる。選手や監督のキャリアにとっても「降格」は大きな痛手となることがある。