■ベラルディの気になる「ふるまい」

 いずれも決定的な形をつくりながらシュートを失敗したのだが、相手も必死に守っているなか、ゴールが決まらないのは仕方がない。私が気になるのは、決まらなかった直後のベラルディの「ふるまい」である。

 最初のチャンスでは、彼は両手で頭をかかえて天を仰いだ。後半13分のシーンでは、ピッチにひざまずき、顔をピッチにつけてしばらく動かなかった。そして18分には、相手に当たったと言いかけた後、苦笑いを見せた。

 ドメニコ・ベラルディはサッスオーロ所属の27歳。所属クラブを牽引するトップスターであり、イタリア代表でも出場24試合という中堅選手である。左利き、右サイドのスペシャリストで、とくに右タッチライン際、相手に背後から詰められてバックパスをするしかないという状況で、縦に走る味方につなげる「マジック」のようなプレーで知られている。サッスオーロという小クラブにありながらも、セリエAで今季まで3シーズン連続2ケタ得点を記録していることは、彼がけっして凡庸な選手ではないことの証明だ。今回は彼の例を挙げたが、彼がけっして「ダメな選手」というわけではないことを断っておきたい。

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