ゴールこそは、サッカーにおける最高の瞬間である。だからこそ、得点した選手は喜びを爆発させる。一方で、サッカージャーナリスト・大住良之が懸念を指摘するのは、ストライカーたちの、ある「ふるまい」だ。ストライカーを弱らせる「パフォーマンス」とは。
■W杯を逃したイタリア代表
最近、ストライカーたちのある種の「ふるまい」がとても気になる。シュートを外したとき、GKに防がれたときの、大げさなジェスチャーである。そしてもしかしたら、肝心な瞬間にゴールを決められないのは、そのせいもあるのではと思うようになった。
一例を挙げると、今回のワールドカップ予選で最もショッキングな敗退となったイタリア代表のプレーオフ、北マケドニアとの一戦。イタリアは圧倒的に試合を支配し、32本ものシュートを放った。北マケドニアはわずか4本だった。しかしイタリアは1本も決められず、北マケドニアは4本のうちの最後の1本、後半のアディショナルタイムに放たれた1本をゴールに決めた。そしてイタリアは2大会連続してワールドカップ出場権を失った。
イタリアには決定的なチャンスが何回もあった。前半30分には相手GKのパスミスをペナルティーエリア外でイタリアFWドメニコ・ベラルディがカット、少しもちこんで、がら空きのゴールに得意の左足でシュートを放った。しかしグラウンダーのシュートはパレルモのスタジアムの芝生にくわれたのか弱くなり、必死に戻ってきたGKに防がれた。
後半13分には、ゴール正面でパスを受けたベラルディがうまくターンして右足でシュートを放った。しかしこのときには、ボールはゴールを大きく越えた。さらに5分後には、左からのパスに合わせて右からはいってきたベラルディがジャンプしながら胸でコントロール、右足でシュートを放ったが、ゴールの枠を外れた。