中村俊輔のFKのベース

 そうした池内氏の視点で見て、体の強さに驚いた選手がいるという。中村俊輔だ。弾力の強いスポンジのようなマットの上で片足立ちになり運動をするトレーニングで、体幹の強さに驚かされたという。

「普通なら、そのマットの上に片足で立つと、足が沈むので骨盤の横のラインが傾きます。でも、俊輔選手はそれがまったくぶれないんです。その状態でボールを受け取ったり、投げる動きをしても、体幹が強いから真っ直ぐなままでいられるんです。プロ選手なら体幹は強いものなのですが、あれほどまでにピシッとして骨盤がぶれない選手を見るのは初めてでした」

 中村俊輔と言えば高精度のプレースキックで有名だが、そのキックを繰り出すフォームは独特だ。足腰など体に負担がかかりそうだが、体の強さあってこそ可能なキックなのだと、池内氏は指摘する。

「日本代表の選手たちは、百獣の王ですよ。アマチュアとは別次元で、プロアスリートという猛獣たちの中でも、さらに上をいく人たちですから。そのくらい、常人とはレベルが違います」

 やはり、超人的でなければ、厳しい代表同士の試合を戦うことはできないのだ。

 

<プロフィール>

いけうち・まこと 1969年、東京都生まれ。横浜マリノス(当時)やベガルタ仙台などでトレーナーを務め、2006年のイビチャ・オシム体制から日本代表のアスレティックトレーナーに就任。南アフリカ大会、ブラジル大会、ロシア大会のワールドカップ3大会を含む、在籍中の全活動に帯同した。2019年に都内に「俺の治療院」を開業し、子どもから高齢者、世界で活躍するトップアスリートまで幅広く施術。後進の育成も目指している。

(2)へ続く
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