日本代表は、多くの人々が関わるチームだ。選手と監督を、多くのスタッフが支えている。
トレーナーも、その重要なメンバーのひとり。ワールドカップ最終予選のオーストラリア戦を前に、トレーナーとして12年間携わり、W杯3大会にも帯同した池内誠氏に、なかなか表に出ない日本代表の秘話を聞いた。
■手で触れての体との対話
池内氏はドイツW杯後、イビチャ・オシム体制から日本代表に携わるようになった。以後、2018年までは全活動、2019年に入ってもいくつかと、日本代表の活動に帯同してきた。
トレーナーの仕事は、早朝からの準備、選手のコンディションチェック、練習後や食後の時間を使ってのケアなど、多岐にわたる。池内氏は多くの選手の体と人柄に触れながら、日本代表を支えてきた。
「私たちは、選手の体を間近で見て、手で触れていろいろと感じ取ります。ある選手は、ふくらはぎを触っているうちに、“あ、試合ができそうになってきたな”というのが分かりました」
選手たちと言葉と感触を通じて“対話”してきた池内氏には、身体能力のすごさに驚かされた選手がいるという。「田代有三選手ですね。ふくらはぎを触っていて、これはすごいなと思っていたんですが、実際にピッチ上でのジャンプなどを見て、“ああ、やっぱりすごいな”と感じました」と話す。
槙野智章も、実際に体に触れてみて驚いたひとりだ。「脚を持つと、重いんですよね。当然、日本代表に入るレベルの選手はそうなんですが、何というか良質の肉が詰まっている、という感じでした。CTスキャンで輪切りの映像にしたら、きっと高級ハムのようになっているんじゃないかなと思うような脚でしたね」。