■ドイツ語で指導する難しさ
すでに、挑戦の日々は始まっている。当然ながら、ライセンス取得コースはすべてドイツ語で行われる。この会見でも、ドイツ語の単語をどう日本語に訳すか考える場面が何度かあり、ドイツに馴染み切っていることを感じさせるが、そんな長谷部にもライセンス取得という壁は高いようだ。
日常会話やサッカーのプレー中にも使わない心理学的な用語など、辞書をめくりながら講習を受けているという。指導の実践でアカデミー年代の選手たちと向かえば、また違う難しさがある。
「サッカーだけじゃなく、ピッチの外の学校行事とかいろいろあるので、コミュニケーションをとって、彼らの人間性にも踏み込んでいかないといけない。それをドイツ語でやるので、難しさを感じている。この語学力で踏み込んでいった時に、非常に難しいなと感じている」
それでも、「クラブが評価してくれて、これだけのチャンスを与えてくれているのに、それを逃す手はない」と、勝負する気持ちに揺るぎはない。
「あまり期待しないでください」と笑うが、周囲はそうは思わないだろう。ドイツに飛び込んだ初めてのシーズンにリーグ優勝を果たしたパイオニアは、またも新たな道を切り拓けるだろうか。