槙野智章はやはり持っている男だ。2022明治安田生命J1リーグ第9節、浦和レッズ対ヴィッセル神戸が2月23日に行われた。試合は槙野の劇的同点ゴールで2−2のドローに終わった。アンドレス・イニエスタのクロスからの同点ゴールが生まれた理由とは。
■凱旋ゴール
アウェイ側はのアナウンスは淡々と読むスタジアムDJが多いが、「槙野智章〜」と「汰木康也〜」のアナウンスは声が大きいように感じた。ブーイングができない代わりにサポーターは拍手や手持ちの旗を横に振っていた。おそらくブーイングの代わりだったのだろう。
昨シーズン限りで約10年在籍した浦和を退団し、今季から神戸でプレーすることになった槙野が前節の名古屋グランパス戦に続きスタメン出場。2021年12月19日に行われた天皇杯決勝戦以来の埼スタ凱旋となった。名古屋戦は右サイドバックとして出場した槙野だったが、小林友希とともにCBとしてフル出場を果たし決勝ゴールを決めた。
1−2の神戸1点ビハインドで迎えた87分、左サイドでボールを受けたイニエスタがファーサイドへクロスを供給。このボールに走り込んできた槙野がヘディングシュート。これがゴールに決まり、槙野が終盤に同点に追いついた。ゴール直後に神戸サポーターへ喜びを表現しに行った槙野だったが、勢い余って転倒する場面も。それでも怪我はなく、選手・サポーターとともに喜びを分かち合った。
槙野はまさに持っている男だ。浦和の選手として最後の試合となった天皇杯決勝で決勝ゴールを記録。そしてその約2か月後の埼スタ凱旋試合で、しかも古巣相手に「恩返しゴール」。勝利とはならなかったものの、どこでもサッカーファンを楽しませてくれる男だ。