■エンリケの存在感が光る

 その新しい戦い方に欠かせない存在であることをうかがわせたのは、新加入のセンターバック、エンリケ・トレヴィザンだ。

 昨シーズンは大分に所属し、読みの鋭さを活かした空中戦や対人での強さ、そして後方からのビルドアップで大いに貢献。新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う新規外国人の入国制限のために合流が遅れ、リーグ戦初スタメンは5月22日の第15節になってしまったが、開幕からプレーしていればベストイレブンに選ばれたであろうと思わせるほどの存在感を放っていた。

 この試合でも、カバーリングをはじめ、レアンドロ・ダミアンのシュートをブロックしてみせたり、家長昭博脇坂泰斗がボールを持って前を向こうとするところに寄せたり、と様々な状況で読みと判断力からくる守備力の高さを見せていたが、それと同じかそれ以上に、ボールを持った時の落ち着きがチームの戦い方を支えていた。

エンリケ・トレヴィザンは、新しいスタイルを持とうとしている東京にとって欠かせない存在になりそうだ。 川崎フロンターレvsFC東京(20220218)撮影/原壮史

 松木の言葉を借りれば「自分たちは、ボールを愛する攻撃的なサッカー、を目指している」という東京。その新たなスタイルにとって、後方からボールを動かすことができる選手の存在は不可欠だ。恐らく本来は、そのキーマンになるのはアンカー起用されるであろう森重真人だが、この試合ではメンバー外。

PHOTO GALLERY 川崎フロンターレ対FC東京 20220218
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