大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第82回「サッカー日本代表の“聖地”埼玉スタジアム・北側ゴールの呪術」(3)奇妙に映った「日本代表キャプテン」遠藤航の選択の画像
遠藤はジンクスに気付いていなかった? 撮影:渡辺浩樹

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、大住良之の「超マニアックコラム」。今回は、科学で解明することはできないが、それだけに魅力的でもある「ミステリー」の話。

■「特異現象」の理由を探る

 この「特異現象」に理由づけはできるのだろうか。ひとつには、もちろん、サポーターの力がある。埼スタの北側スタンドが、このスタジアムで最も活発なサポーターが集まる場所であることは間違いない。青一色に染まったそのサポーターを目にして、日本代表の闘志が燃え上がらないわけがない。

 もうひとつは、「後半に攻めるゴールだから」という理由が挙げられるかもしれない。27のワールドカップ予選のうち、実に24もの試合で、日本は試合開始時に北側のエンドをとっている。当然、後半は南側のエンドを取り、北側のゴールに向かって攻めていくことになる。27試合で、日本は前半に28ゴール、後半に39ゴールを記録しているので、当然、北側のゴールに決まる得点が多くなる。

 ちなみに、埼スタにおけるワールドカップ予選で日本が前半に南側のエンドをとった3試合の最初は、2015年6月、全27試合のうち15試合目のシンガポール戦だった。「3次予選」の最初のゲームである。日本代表は圧倒的にボールを支配し、実に23本のシュートを放ったのだが、4分間あった後半のアディショナルタイムにも得点を生み出すことができず、0-0のまま終了して大きなショックとなった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4