■吉田の代役は板倉、左SBには中山を

 さらに言えば、国内組と海外組のコンディションの違いもある。

 国内組は昨年12月から公式戦を戦っていない。メンバー発表直前まで森保監督の指揮下でキャンプを行なったが、強度の高いプレーから遠ざかっている。国内組と海外組で選択に悩むポジションがあるならば、ゲームフィーリングやゲーム体力を判断材料に海外組を選ぶ、という考えかたは成り立つ。

 吉田に代わるCBは、その最たるケースと言える。CBには冨安健洋に加えて谷口、植田、板倉が選ばれている。このタイミングで彼ら3人を比較するなら、板倉が吉田の代役にふさわしい。

 ブンデスリーガ2部のシャルケに所属する彼は、1月16日のリーグ戦に出場している。先発出場が確実視される富安、酒井宏樹遠藤航田中碧らとは、東京五輪でともにプレーしている。コンビネーションの土台は、同じ海外組の植田よりもしっかりとしているのだ。

 最終予選が開幕してから、左サイドバックはつねに論点となっている。長友佑都中山雄太か、というチョイスだが、今回も難しい。

 考えるべきは同サイドのアタッカーだ。三笘のようなドリブラータイプが起用されるなら、サイドバックが頻繁に攻撃参加しなくてもいい。リスク管理を重視したプレーでいいだろう。

 今回は三笘が不在だ。森保監督のここまでの選手起用に照らすと、南野拓実のスタメン出場が濃厚である。ウイングのようにタッチライン際に張り出すのではなく、内側にも立ってコンビネーションを生かしていく南野の後方には、タッチライン際を上下動する長友のプレースタイルがハマりやすい。

 ただ、ゲームフィーリングやゲーム体力は、オランダでプレーする中山に分がある。ここまで4試合に途中出場しており、最終予選の空気感にも触れている。攻撃面についても、パスを駆使してサポートできている。中山の先発起用は戦略的にも悪くないものだ。

【後編へ】
(2)へ続く
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