現在ドイツでプレーする日本代表DF板倉滉は、今年のカタール・ワールドカップなど、今後の飛躍が期待される逸材だ。Jリーグからヨーロッパへ渡っても、年々ステップアップを遂げている。
そんな期待の選手をマネジメントなどで支えるのが、有限会社SeeKの藤川誠人・代表取締役だ。サッカー一家に生まれ、小学校時代から板倉を知る心のよりどころでもある。
二人三脚で成長を続ける2人の活動の裏側、さらに板倉の素顔について、藤川さんに話を聞いた。
■唐突なようで自然な「合流」
2019年に入り、板倉がオランダで生活するようになってからも、2人は連絡を取り続けた。
「通信アプリの電話機能を使って、しょっちゅう話をしていました。向こうは練習が終わって暇になったからって、電話をかけてくるんですよ。こっちは夜中の2時や3時なのに」
板倉からの連絡は続いた。しかも、グレードアップして。
一緒に仕事をするという話は、唐突なようでいて、自然な流れの中から出たものかもしれない。藤川さんはプロ選手だった父を通じて、多少なりともサッカーやメディアの世界とのつながりはある。何より、子どもの頃から心を通わせ合ってきたふたりだ。また、藤川さんにとっても、求めていた挑戦でもあった。
「会社に入ってしばらくして、年齢を重ねるにつれて役職と年収が決まる、というのが見えたんです。それまでスポーツをやってきて、自分の力で道を切り拓いてきたので、正直に言って、それでは刺激が足りなかったんですよね。何をするとは決めていませんでしたが、入社してすぐに、3年以内には独立するだろうなと考えていました」
いきなり辞表を出すわけにもいかず、スポーツマネジメントの業界の現況を調査しながら準備を進めた。