■重荷だった父の存在

 4人兄弟の三男として生まれた藤川さんは、父の現役時代を知らない。ただし、「家に(父親が出ている試合の)ビデオがあったので、ずっと見ていた記憶はあります。それを見て、無意識にそのポジションでプレーするようになったのか…。すごいとかいう感覚はまったくなく、ただ『お父さんが何万人ものお客さんの前でサッカーしている』と思うだけで、すごさは分かっていませんでした」。

 2人の兄は、県外の強豪校へ進学し、長男は本来フィールドプレーヤーながら、チーム事情により、GKとして全国高校選手権に出場した。次男もGK。やはり、血は争えないということなのだろう。

 ただし、「高校の頃までは、父のことを言われるのがすごく嫌でした。どれだけ努力をしていても、父の名前が見出しになるので」と、重荷になった時期があったことも事実だ。

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