■不安要素を抱えた状態
攻撃での停滞でも、メッシがいないと前線から降りてくる選手がいなかったということは、いつもの動きはチームの判断ではなく、メッシの判断で行われているということだ。
指揮官は、途中出場のシャビ・シモンズに対してはポジショニングについて細かく熱心に指示を飛ばしていたが、スタメンの選手たちは、送り出した時点で手を離れた存在になったかのようだ。
もちろん、選手の判断を尊重して取り入れたり、メンバーを選んで送り出すところで監督の仕事は終わりだと考えるタイプもいる。
しかし、今のPSGは、そういうことではなく、ポチェッティーノ監督がコントロールを失っているように見えてしまう。メッシがいないから、ではなく、いないのに手が打てない、という試合だった。
PSGは、76分にペナルティエリア左サイドからのグラウンダーのボールがたまたまゴール前の密集地帯で、敵味方誰も触れることができずに通り抜け、右サイドまで流れたことでティロ・ケーラーのゴールが生まれた。
どうにか同点で試合を終えることができたPSGだが、ここからが本番のチャンピオンズリーグに向けて不安要素を抱えたままだ。
ここまでのスター軍団ならば選手たちの力だけで勝ってみせることも可能なのだろうか。あるいは、強敵を前にすれば途端に団結するのだろうか。
果たして、ゲームで作ったようなこのチームはどのような結末に向かって進んでいるのか。
その答えは、レアル・マドリードとのCL決勝トーナメント初戦で明らかになる。
■試合結果
オリンピック・リヨン 1-1 パリ・サンジェルマン
■得点
7分 ルーカス・パケタ(リヨン)
76分 ティロ・ケーラー(PSG)