だが、その後、1982年のスペイン大会から出場国は24か国に、そして1998年のフランス大会から32か国に拡大された。そして、2026年の北米大陸3か国共同開催の大会から48か国に拡大されることが決まっている。
1998年の参加枠拡大に伴って初出場を果たした日本人は、あまり批判できる立場にはないのかもしれないが、やはり弱小国も出場できるようになることでワールドカップは“夢の大会”ではなくなってしまうだろう。試合のレベルは間違いなく下がるだろうし、とくに2026年大会以降に行われる3か国によるグループリーグなど、見るに堪えないような試合が続出することだろう。
■乱発されている「ワールドカップ」
現在、「ワールドカップ」という名称を冠したサッカーの大会は、いったいいくつあるのだろう。FIFAが、「ワールドカップ」という大会名をさまざまなカテゴリーの大会にも使用するようになったからだ。
かつては「ワールドユース選手権」と呼ばれていた20歳以下の選手による世界選手権は、2007年大会から「U-20ワールドカップ」と呼ばれるようになった。現在ではFIFAが主催する大会としては、フル代表による「FIFAワールドカップ」を初めとして、男女の年代別のワールドカップ、フットサルやビーチサッカーのワールドカップ、そして「クラブ・ワールドカップ」があり、全部で9つも「ワールドカップ」と呼ばれる大会があるのだ。
あ、そういえば、すっかり忘れていたが、FIFAは「eワールドカップ」というサッカーゲームの大会まで主催している。
「ワールドカップ」の安売り。ワールドカップのインフレーションだ。本家本元の男子フル代表によるワールドカップの“ありがたみ”は時間が経過するほど薄れてきてしまった。
そして、48か国が参加する大会が2年に一度開かれるようになったら、本家のワールドカップの希少性はさらに小さくなってしまう。