2021年の日本代表は、久々に「ホット」な時間を過ごした。ワールドカップ最終予選に突入し、年代別代表は東京オリンピックを戦った。その舞台では、なでしこジャパンも奮闘した。
思わぬつまずきがあった日本代表だが、年をまたいで戦いは続く。批判を浴びながらも年明けにはワールドカップ行きを懸けた次の試合が待ち、11月のカタール大会へ向けて歩みを続けるのだ。
日本代表は2021年にどのように道を歩み、2022年へと漕ぎ出していくのか。ベテランジャーリストの大住良之と後藤健生が熱く語り合った。
■チームづくりの良い波が来るタイミング
――チームづくりには波がつきものです。例えばアルベルト・ザッケローニ監督の時には、ずっと緩やかに上がっていましたが、ワールドカップ前にピークを迎えてしまった印象です。
後藤「波というのは、つくろうと思ってできるわけじゃないんだよね。ここで一度落とそうなんて、考える人はいないと思うから。波はできてしまうもので、どこでうまく当たるかを左右する要素としては、運が大きい。UEFAチャンピオンズリーグでも、春先のラウンド16や準々決勝で波が低くなった強豪が負けたりする。2021年の川崎フロンターレだって、ACLで負けたのは、主力が2人も移籍してケガ人も続出した最悪の時期に当たったからだった。波をいかに小さくするか、悪い時にどう戦うかという問題はあるけれど、かなり運が影響すると思うね」
大住「ザッケローニのチームのピークはワールドカップの最終予選が始まった2012年だったと、僕は思う。その前のワールドカップで本田圭佑が完全に中心になって、いきなりボルシア・ドルトムントでスターになった香川真司が加わり、岡崎慎司や長友佑都といった全員が伸びてピークに達したのが、2012年の夏の頃だったと思うんだよね。その後、伸びの角度はぐっと落ちていったけど、そのタイミングを遅らせるという調整はできない。現状で手元にいる選手を使って、いかにベストのチームをつくるかが代表チームだから。ただし、森保一監督の手元には、ワールドカップの1年前のタイミングで、チームを劇的に伸ばす素材がそろっているんだよね。だから、本来ならばカタール・ワールドカップにはものすごく期待できるはずなのに、出し惜しみというか、何か深い考えがあるのもしれないけれど、予選でこんなに危ない橋を渡るというのは、いろいろな意味で良くないと思う」