■シーズン中に大きく変わった顔ぶれ

 今シーズンの浦和レッズは、リカルド・ロドリゲス監督の下でまったく新しいチームを作る作業が続いた。

 浦和のチーム作りの跡を辿ろうと思って、J1リーグ第1節(3月2日)の湘南ベルマーレ戦(0対0の引き分け)のメモを見てみた。その湘南戦とシーズンを締めくくる天皇杯決勝の2試合の先発メンバーを比べてみると、両方の試合で先発出場しているのはなんと柴戸海だけだったのだ(しかも、湘南戦で柴戸は右サイドバックだった)。

 その後、小泉佳穂伊藤敦樹明本考浩といった新加入の選手がさまざまなポジションで起用され、シーズン途中にはユンカーやアレクサンダー・ショルツといった外国人選手が加わり、Jリーグに活躍の場を移した酒井宏樹が浦和に入団し、さらに国内移籍で江坂任が加入した。それぞれの選手は非常にうまくチームに溶け込んで、それぞれのポジションで素晴らしい活躍を見せた。

 江坂は、浦和に移籍したことでその才能を一気に開花させたようにさえ見えた。

 だが、では浦和レッズというチームがどんなスタイルのチームで、どういう戦い方を目指しているのかと考えると、そうやら、そのあたりはまだ明確化してきていないようなのだ。

 もちろん、チームというのは生き物であり、試合によって戦い方が変わるのは仕方のないことだし、相手によって戦い方を変えることも必要だ。そして、リカルド・ロドリゲス監督というのは、試合によってメンバーやシステムを変更することを厭わないタイプの指揮官のようだ。たとえば、かつて浦和を指揮していたミハイロ・ペトロヴィッチ監督が常にやり方を変えなかったのとは対照的だ。

 だが、基本的なコンセプトをしっかりと作り上げることもやはり大事である。

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