【2022年を見据えて】J1制覇のために求められる「帰るべきところ」【「天皇杯覇者」浦和レッズは「リーグ王者」になり得るか】(3)の画像
伊藤敦樹は天皇杯決勝でいつも以上に積極的なプレーを見せていた 撮影/原壮史

 天皇杯も優勝チームが決まり、Jリーグクラブの2021年の公式戦はすべて終わった。一方で、2022年シーズンへの期待はすでに膨らみ始めている。
 天皇杯の覇者となり、獲得タイトルをさらに増やした浦和レッズは、2022年のJ1でも優勝争いを演じることができるのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■準決勝敗退の川崎との差

 浦和レッズはJ1リーグで上位を争ったチームである。今シーズンは、まだ新監督を迎えた最初のシーズンだったが、リカルド・ロドリゲス監督にとって2シーズン目となる2022年にはリーグ戦やACLでの優勝を目指さなければいけないチームなのだ。

 一方の大分トリニータは、たしかに完成度は高かったし、川崎フロンターレを破って勢いに乗っており、しかも“失うもののない”状態だったとしても、J1リーグでは18位に終わり、J2降格を余儀なくされたチームなのだ。

 その大分を相手に、前半の早い時間に浦和は先制したのだ。「浦和が優勝したけど、つまらない決勝戦だったね」と言われるくらいの勝ち方でしっかりとゲームをコントロールしてしっかりと勝ち切れるようでないと、リーグ戦での優勝には届かないはずだ。

 もちろん、サッカーは“不確実性のスポーツ”なのだから、結果として追い付かれてしまうこともあるだろう。あの川崎でさえ、天皇杯準決勝ではせっかく延長戦で先制ゴールを決めておきながら、相手のパワープレーに押し込まれ、選手の負傷で1人少なくなるというアクシデントにも影響を受けて、大分に追いつかれてしまった。

 だが、準決勝での川崎は延長までの120分間で合計28本ものシュートを撃っている。90分で得点できなかったのは、大分のGKの高木駿の好守によるものだ。

 だが、浦和のシュート数は前半が3本、後半が6本と、合計でヒト桁に終わってしまったのだ。大分に「負けた」(試合には負けていないが)川崎と、大分を破った浦和を比較すれば、川崎の方がはるかに良い試合をしたと言える。

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