■自分を奮い立たせた宇賀神

 この試合では浦和の宇賀神、槙野智章(ともに契約満了)、そしてセレッソの大久保嘉人(引退)がそんなアディショナルタイムを過ごした。

 一度終わったと思った時間が再び流れ出すことは、本人にとって難しい部分もあるという。スタメンとして出場した宇賀神は試合後「(リーグ戦の最後で)自分のピッチでの役割は終わったんじゃないかという気持ちがあった」と明かし「僕じゃないんじゃないですか?と(監督に)話しに行こうかと悩んだ日もあった」と続けた。勝てば決勝戦が残っていた大久保は、試合終了の笛を聞いて「これでもうやらなくていい」という気持ちになったそうだ。

チームメイトの祝福を受ける宇賀神 浦和レッズ対セレッソ大阪(2021212)撮影/原壮史

 それでも、宇賀神は「埼スタのピッチに立つことが、浦和レッズの人間としてやれる最大のパフォーマンスではないか」と自身を奮い立たせ、29分に流れてきたボールに右足を振り抜き先制ゴールを決めてみせた。

 まさかの一撃に埼スタは沸騰。チームメイトにもみくちゃにされた宇賀神は、喜びの輪がなくなって1人になると、サポーターを煽り、耳に手を当て、最後は背中を向けて背番号3を見せつけた。

PHOTO GALLERY 浦和レッズ対セレッソ大阪 20211212
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