バルセロナ、ユベントス、湘南ベルマーレも導入!世界のサッカーの最先端「クラブトークン」の現在(2)「サッカーにはサッカー以上の価値がある」世界共通言語になり得るコンテンツ力の画像
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 サッカー界に新しい動きが生まれている。ブロックチェーンを使った独自の暗号資産である「トークン」の流通だ。これはサッカーに限らず、世界中に共通した流れとなっている。

 トークンは、独自の仮想通貨を発行するようなもので、ひとつのコミュニティー内で価値のやり取りを行なうことが可能となる。発行者にとっては、クラウドファンディングのように資金調達の手段にもなる。

 最近では、サッカー界でもトークンを発行するクラブが増えてきている。世界的名門クラブであるFCバルセロナユベントスリオネル・メッシ率いるアルゼンチン代表が取り入れて話題となった。国内でも、J1の湘南ベルマーレがトライした他、関東リーグ2部の南葛SCや東京都リーグ1部のSHIBUYA CITY FCが取り組んでいる。

 サッカークラブが扱うトークンとはいったいどのようなもので、どんな可能性があるのか――。トークンを扱う株式会社フィナンシェ(以下、フィナンシェ)の田中隆一COOと、同社の仕組みを利用している神奈川県2部リーグのサッカークラブ・鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)オーナーの四方健太郎氏に話を聞いた。(#1、2のうち2)

たなか・りゅういち 株式会社フィナンシェCOO 慶應義塾大学理工学部情報工学科卒。2000年にデロイトトーマツ・コンサルティングに新卒入社。2002年4月DeNA入社。2005年8月ノッキングオンに参画。モバイルアフィリエイト事業の立ち上げ、ソーシャルゲームの企画・運営を経て、2008年から代表取締役を務めた。2010年8月、株式会社Zynga Japanに所属、2012年12 月にUnicon Pte. Ltd.を創業。ドリームシェアリングサービスFiNANCiEを運営する株式会社フィナンシェの共同創業者。

よも・けんたろう 鎌倉インターナショナルFCオーナー 立教大学を卒業。アクセンチュア株式会社に入社し、2006年から中国に業務拠点を移し、大中華圏の日系企業に対するコンサルティング業務を行なう。2008年に独立。1年かけてサッカーワールドカップ2010年南アフリカ大会に出場する32か国を巡る「世界一蹴の旅」を敢行し、同名の書籍(双葉社)、また『世界はジャパンをどう見たか?』(経済界社)を出版。東南アジアやインドでグローバル人材育成のための海外研修事業に従事する。

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■「サッカーにはサッカー以上の価値がある」

――鎌倉インテルとしては、トークンをどう有効活用したいですか。

四方「県リーグの3部や2部のクラブが、クラブの予算を何千万円も手にするということは考えられないことです。資金調達しようと思っても、“法人化しているんですか?”などと言われたりして、なかなかお金は集められない。そうこうしていうちに、どんどん時間だけが過ぎていくわけなんですよね。本当に良いアイディアやビジョンには、もっとお金が集まればいいと思うんですが、現状、スポーツクラブでは、それはなかなか厳しい。

 誰かを天使のように後押ししたいという、“エンジェル投資”というのがありますよね。トークンは、そのスモールバージョンの“マイクロエンジェル投資”のような感覚。ユーザーとしては、パトロンなんだけど、うまくいけばお金が返ってくる、みたいな感覚だと思います」

――なるほど。鎌倉インテルは、トークンを買った人に何を提供できますか。

四方「僕は、サッカーにはサッカー以上の価値があると思っています。ボールを持って世界中を回ったことがありますが、サッカーは、本当の意味で世界共通言語になり得るコンテンツ力があると思いました。

 ただ、Jリーグのアジア戦略などを見ていても、取り組み方がもったいないと感じます。じゃあ自分でやればいいんじゃないかと周りにも言われて、インターナショナルFCという名前をつけたクラブをつくりました。

 僕はもともと、あまりサッカーをやる方ではなく、見る側なんです。サッカーを観戦する人には、試合の朝からいろいろな物語があって、話題を共有できる。スタジアムで横に座った人やスポーツバーで会った人と仲良くなるとか、またワールドカップに行ったら世界中の人と交われる――それって本当に共通言語で、そこから人材の交流やビジネスが生まれるという、すごく価値あるプラットフォームだと思います。

 僕らのクラブは、サッカーを通して国際的な付加価値をつくっていこうぜ、というビジョンを持っています。サッカークラブの中に入ってみて思ったのは、現在、競技としての成功体験がすごく強い人たちがクラブをつくっているので、観客がどう考えているか、感じているかというのは、あまり分かっていないということ。

 でも、みんなサッカーが好きなわけです。じゃあ、その価値を高めたら、競技者側も観客側も喜ぶよね、ということなんです」

「サッカーにはサッカー以上の価値がある」四方健太郎氏

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