■「個」の勝負に持ち込むな

 最大の問題は、攻撃の最終段階だった。相手ペナルティーエリアにかかるところで、多くの攻撃がストップさせられた。最前線でプレーした小林里歌子と植木理子のところにパスが送られても、アイスランドの大柄なディフェンダーが激しく体を寄せており、WEリーグで見せるこの2人のペナルティーエリア内でのコンビネーションはまったく発揮させてもらえなかった。

 後半32分には小林に代えてオリンピックで2得点を挙げた田中美南(INAC神戸)が投入されたが、大きく状況が変わったわけではなかった。

 「縦に速い攻撃」では、相手ペナルティーエリアにはいっていこうという選手は最前線のFWが中心になる。後ろから組み立て、相手守備をそのままの勢いで切り崩そうとすると、どうしてもFW対DFの「個」の勝負となる。

 サッカーという競技では、幅7.32メートル、高さ2.44メートルという「小さな」目標に向かわなければならないFWより、ゴールを除けば360度どこへけり出しても勝ちとなるDFのほうが圧倒的に有利な立場にある。

 しかもこの試合のアイスランドのようにペナルティーエリア近辺に選手を密集させる守備組織のなかで孤立するFWにボールを出して「さあ、シュートを打って点を取って」と望んでも、かなえられることはない。

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