後藤健生の「蹴球放浪記」第86回「アジェンデ政権の夢の跡」の巻(2)コパ・アメリカでの反大統領運動つぶしの画像
1978年のチケット。CDCUはウニベルシダ・カトリカを表す。入場時にもぎられてしまった 提供/後藤健生
■チリの名門クラブの試合チケットなど旅の跡

 サッカーの世界地図で、重要な位置を占める南米大陸。当然、蹴球放浪家・後藤健生にとってのフィールドだ。大学で政治学を学んだ後藤にとって、独裁政権時代のチリは、一層の知的好奇心をかき立てた。

■ドイツとつながりのあるスタジアム

 エスタディオ・ナシオナル(現在の正式名称は「エスタディオ・ナシオナル・フリオ・マルティネス・プラダノス)は市内のニュニョア地区にある大きなスポーツ公園の中にあります。スタジアムに入ったとたん、「あれ、ベルリンのオリンピアシュタディオンによう似とるなぁ」と思ったのですが、後で調べてみたら1938年に完成したこのスタジアムは本当にベルリンのスタジアムを基に設計されたんだそうです。もちろん、1962年のワールドカップの決勝が行われ、ブラジルが2連覇を果たしたのもこのスタジアムです。

 バックスタンドの後方には美しいアンデスの峰々も見えていました。ですが、その後、2014年のコパ・アメリカ開催の時にやはりベルリンのスタジアムと同じようなデザインの屋根が取り付けられたので、今ではスタンドからアンデスを見ることはできません。

 ちなみに、このスタジアムはクーデター直後には政治犯収容所として使われていました。

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