■「冬の時代」の日本代表レベル

 この日の試合は1試合目がパレスティーノとホテルで同宿だったロータ・シュワーガー(2対2)、2試合目はウニベルシダ・カトリカ(カトリック大学)対エベルトン(0-2)のダブルヘッダーでした。ロータはコロネル市のチームで、現在は4部リーグに属していますが、その他のチームはどれもチリの名門です。

 しかし、2試合ともテクニックもそれほどでもないし、第一スピード感がまったくない試合でした。当時の観戦メモを見ると「これなら、日本代表がやっても善戦できるだろう」と書いてあります。日本サッカーの冬の時代なのに、です……。

 印象的だったのはボールがタッチラインやゴールラインを割ると、すぐに新しいボールで再開することでした。今では、マルチボール・システムは世界中で行われていますが、当時はマルチボール・システムを採用しているのは南米だけでした。

 また、スタジアムの掲示板は電光式ではなく、点が入ると数字が書かれた板を人力で回転させる方式でしたが、2点目が入ったら「GOL」(スペイン語のゴール)の後に「ES」と書かれた板が表れたのに感心しました。つまり、「GOL」が「GOLES」と複数形に変化したのです。

PHOTO GALLERY ■チリの名門クラブの試合チケットなど旅の跡
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