■SNSで絶賛の嵐!

 このとき、伊佐の近くにいた大分の選手はMF町田也真人ただ一人。一方で川崎の選手3人が介抱している中で、さらにDF登里享平までもが寄ってきた。登里は、ペットボトル2本を持って伊佐に近づくと、伊佐にその水を飲ませようとしたのだ。すでに旗手から水をもらっている伊佐は、笑いながらそれを断っていた。チームのムードメーカーである左サイドバックは、試合中でもユーモアを忘れなかったのだ。

 この様子がSNSで拡散されると、川崎の行動に絶賛の嵐が起こった。
「ジェントルマンの『ジェントル』の意味を体現してる」
「やっぱりこのチーム最高だ…」
「みんな優しくて素敵なチームだわ」
「ノボリ試合中でも面白い笑」
「大分の負傷選手を担架に乗せるのも手伝ってくれてたし、ほんといいチームやったなあ。これぞ王者。」

 このとき、両チームともにスコアレス。一発勝負の緊迫した状況で王者が魅せた振る舞いは、賞賛されるにふさわしいものだった。

 伊佐は71分に途中交代でピッチを去ると、90分で決着がつかず試合は延長戦へ。途中交代でピッチに立った川崎FW小林悠が113分に先制ゴールを挙げて、川崎がそのまま決勝に勝ち進むかに思えたが、延長後半アディショナルタイムに大分DFエンリケ・トレヴィザンが劇的な同点ゴールを決める。そしてPK戦で、大分の決勝進出が決定した。

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